八神千歳『少女マンガのヒーローになりたいのにヒロイン扱いされる俺。』ボイスコミック化記念☆声優・島﨑信長さんインタビューPart② 声優の仕事を語る

「ヒロヒロ」ボイスコミックで佐空(さく)を演じてくれた島﨑信長(しまざきのぶなが)さんに、八神先生&ちゃお編集部がお話を聞きました。第2弾は、声優のお仕事について、たっぷり教えてもらったよ。

声優になった理由は…?

八神千歳先生(以下、八神):島﨑さんが声優になろうと思ったのは、やっぱりアニメ作品とかが好きだからですか?

島﨑信長さん(以下、島﨑):そうですね、最初は「好き」だからです。本気で声優の道を目指したきっかけでいうと…19歳の大学浪人中に、ある声優オーディションを受けてみたら、最終選考まで残れたんです。最後は落ちましたが、手がとどくところまでは行けた。そのとき、その後の人生をいろいろ想像して、「ここで一回声優を目指さなかったら、もし他の仕事をしても『あのとき声優を目指していたら違ったのかな…?』と後悔しそうだ」と思ったんですよね。僕の性格的に、もしやってみてダメだったら、そのときは悔いなく違う道を行けるかな?と。声優になれなかったときの最大限マイナスな未来も考えて、そうなっても「自分で決めた責任だ」と覚悟して、今の事務所の養成所に入りました。

すごく勇気がありますね。まんが家もそうですけど、成功する方は、そういう勇気がある方が多いと思います。

八神:自分の声が美しいと思ったから…ではないんですね。

島﨑:ないない、まったくないです(笑) 学生のときにいい声と言われたこともないです。トレーニングを積んで、できるようになるものだと思います。それに、しゃがれ声とか個性的な声だったとしても、それはそれで武器になるんですよね、声優の世界は

八神:たしかに…!

島﨑仮に声質がよかったとしても、芝居ができないとダメですし…。アニメを見ていると、すごい作品ほど、とんでもない心からの叫びとか、熊のような大男とか、いろいろな声質や芝居をする人が出ていて、豊かになっていると思うんです。だから極論を言えば、「誰でもその人の持っているものや表現がフィットする場所が、作品のどこかにあるんじゃないか」…と、僕は思っているんですけど。

それは、声優になりたい子が聞いたら夢がありますね。もし小学生で「声優になりたい!」と思っている子が、今からできることって何かありますか?

島﨑:そうですね…たぶん「自分の夢や目標に近づくには何をしたらいいかな?」と自分で考えて、やってみることが大事かな?と思います。たとえばですが、「声優になりたいから発声練習をやってみる」として。人から「これやってみれば?」と言われてなんとなくやるのと、自分で「これをやってみよう!」と調べたり行動に移すのだと、全然ちがうと思うんです。自分で考えて行動していくのは、とても大事で。なぜかというと、大人になって声優になったとしても、この世界はずっと「自分の課題を自分で見つけて、とりくむ」のくりかえしなんですよね。

声優にかぎらず、夢をかなえるのに大事なのは「自分で考えていろいろやってみる」ことかもしれないですね。

島﨑:それだけで、まわりの人より夢に近づく行動になると思います。あと、やってみて失敗してもいいんです。むしろ若いうちに失敗したほうがいい(笑) 「次はちがうやり方をしてみよう」という学びになるし、成功のコツもつかんでいけるし。そういう地道なものが、一番大事だと思います。そして、その原動力になるのが、自分の中から出てくる、「好き」とか「何かになりたい」という強い思いなんじゃないかと…。だから、夢をかなえたかったら、自分の夢をもっと好きになればいいだけなんです。

八神:夢をもっと好きになる…!

島﨑:もっと好きになれるように、いっぱい楽しむ。好きになるほど興味を持つから、自然とそこに近づく動きをしていくと思いますね。

声優のお仕事の裏がわは…!?

声優のお仕事について教えてください。アフレコのイメージを持っている子が多いと思うのですが、ほかにはどんなことをしているのですか?

島﨑:そうですね、アフレコの現場に行って、マイクの前で演技をするのはもちろん大事なんですけど。実は声優は、それをやるまでの準備がすごく長いんですよ。

八神:そうなんですか…!

島﨑:たとえば今回の「ヒロヒロ」のボイコミだったら…演じるのは3話だけだけど、3話だけ読んでも作品の世界がわからないので、単行本の他のお話も読みます。そして自分のセリフをチェックして「佐空くんはどういう人なんだろう? どういうふうにやろうかな? 相手役は誰かな?」などと演技プランを考えます。ボイコミは映像はないですが、アニメ作品だとアフレコ用の映像をもらうので、台本を読みこんだあとに、絵の長さに合わせてセリフを言う練習もします。「このセリフはゆっくり言おうと思っていたけど、絵はスピーディーな動きだから、速く言う気持ちに持っていかなきゃな」とか調整して…。

アフレコのうらに、そんなヒミツがあったんですね…!

島﨑:それでアフレコ現場に行ったらすぐ「はい、やってみて」となります。その場で他の人とセッションというか。みんな、それぞれの役作りはもうできていてあたりまえで。

八神:なるほど。

島﨑:一回やってみて「ああ、君がそうするなら、僕はこうしよう」と、その場でリアルに変化するお芝居が生まれてくる。だから、役をわかってないとか、セリフをどう言うか考えてない段階で現場に行ったら、大変なことになる仕事です(笑) さらに、1日に別の作品の収録が重なることもあります。すると、その作品数の分チェックと準備をしなきゃいけなかったり…。

八神:感情表現がゆれますね。「午前中は暗い役だったけど、午後は陽キャ」とか…。

島﨑:そういうことも、よくあります(笑)

八神:その切りかえがすごいですね。

島﨑:そうですね、声優は切りかえと瞬発力が求められる仕事だと思いますね。

声優は何歳でも、どんな役でもできる

大変な準備も多いなか、島﨑さんにとって声優というお仕事のやりがいはなんですか?

島﨑:僕は声のお芝居がすごく好きなんです。この分野は、共同作業がすごく多いんですよね。まず八神先生のように原作を描いている方がいて、アニメの映像を作る方たちがいて。僕は声だけを収録するけれど、チャイムの音や足音などは、音響効果の方が入れてくれる。たくさんの分野のプロフェッショナルのすごい人たちが集まって、ひとつの作品を形にするために、それぞれの分野で全力を出す。そして僕は、声に集中する。みんなでいっしょに作る感じが、楽しいんですよね。

八神:いいなー…。

島﨑:だから僕、まんが家さんは本当にすごいと思うんです。ひとりで全部の世界を描かなきゃならないじゃないですか。

八神:孤独な作業なんです(笑)

島﨑:やっぱり僕たち声優は、ゼロからは生み出せない仕事なので。作家さんたちから生み出された1を、100を目指してふくらませておもしろくすることはできるけれど、「1」となる台本がなかったら何もやれないんです。でも声優は、何歳になってもどんな役でもできるというよさもあります。人間以外でも…犬でも猫でも(笑) そこも楽しくて、僕は声の芝居が大好きなんです。

やっぱり「好き」にもどってくるんですね。

島﨑最初はアニメなどの作品が「好き」でこの世界にとびこんで。でも声優をやっていくうちに、いろいろな経験をして、作品や仕事に対する責任感がのってくる。ライトに「好き」じゃなくて、本当に深く「好き」になっていって…その積み重ねで今がある気がしています

最後に、「ヒロヒロ」ボイコミの聴いてほしいおすすめポイントをお願いいたします。

島﨑:喜怒哀楽がたくさん出ている宙(ひろ)くんが、本当にかわいくて。そんな宙くんを見て「こんな子がそばにいたら、大事に思っちゃうよな」と佐空くんに共感しました。みなさんも、佐空といっしょに、星川(ほしかわ)さんといっしょに、宙くんを愛でてください。

ちゃお&八神:ありがとうございました!

島﨑信長さんからちゃおっ娘へメッセージちゃおっ娘のみなさんは、今、好きなものや夢はありますか? 「好き」は、あなただけの大事なものなので、たくさん楽しんで過ごしていってください。そして「ヒロヒロ」のボイコミが、そんなみなさんの生活に彩りをそえられたらうれしいです!

島﨑信長(しまざき のぶなが)
12月6日生まれ。宮城県出身。2009年声優デビュー。アニメ『Free!』シリーズ七瀬遥役、『呪術廻戦』真人役、『東京リベンジャーズ 天竺編』黒川イザナ役など、細やかな演技で幅広く活躍。趣味はゲーム、お菓子作り。

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