大人気小説『さよなら、田中さん』コミカライズ記念♡  原作者・鈴木るりかさん×まんが家・おがわこはるさん スペシャル対談!

鈴木るりかさんは、なんと中学2年生でデビューした現役学生小説家! そのデビュー作『さよなら、田中さん』を、おがわこはるさんがまんが化して、「ちゃおコミ」でれんさい中(ちゃおコミ『さよなら、田中さん』)。元ちゃおっ娘でもあるお2人に、『さよなら、田中さん』や「ちゃお」についてたっぷり語ってもらったよ。

 

 

おたがいの作品を読んだ感想は…? 

 

ちゃお編集部:『さよなら、田中さん』は、小学6年生の女の子・花実の日常や、花実をとりまく人間もようを書いた小説です。この作品はどのように生まれたのですか?



鈴木るりか:

私が小学4年生のとき「12歳の文学賞」(小学館主催の文学賞。現在は終了)に応募するために書いた『Dランドは遠い』という短編作品がもとになっています。そのときはこの1作で完結していたので、その後まさかシリーズの本になると思わず…作者の私もびっくりです。

 

ちゃお編集部:おがわさんは小説『さよなら、田中さん』を最初に読んだとき、どんな印象でしたか?

 

おがわこはる:

「すごいのきたなー! やられたー!」と思いました。正直、中2のころに書いたと聞いて、少しナメていたんです・・・(笑)。「”中2にしては”うまいんだろう」ってタカをくくっていたんですね。でも読み始めたら、お話の展開とかキャラクターの作り方とか、すごく上手で引き込まれて…「これはやばい!!」と。世界観も私の好みにドンピシャでした。

 

(まんが「さよなら、田中さん」1話目より)

 

 

鈴木るりか:

ありがとうございます。私も、おがわさんがまんがにしてくださった『さよなら、田中さん』を読んだとき、あまりにイメージにぴったりで驚きました。「たぶん、私が自分でまんがで描いたらこんな感じになるだろうな」と思って、すごく嬉しかったです。


 

おがわこはる:

本当ですか? 嬉しいです。わーい、やったね!(笑)

 

 

鈴木るりか:

特に、花実が住んでいるアパートの大家さんのビジュアルインパクトは、想像以上でした(笑)

おがわこはる:

小説を読んでいて「大家さんはカバみたいな人」って、ピッって思ったんですよ。そこに、自分の母親やばあちゃんとかの要素をチラチラ取って、あの感じになりました。

(まんが「さよなら、田中さん」2話目より。花実家のアパートの大家さん)

 

鈴木るりか:

そうだったんですね。登場人物が多いので、それぞれどんなビジュアルになっているのかとても楽しみでした。花ちゃん親子が住んでいる部屋の小物とか、花ちゃんの服装とか、小説ではそこまで細かく書いていないのですが、イメージどおりのまんがの絵になっていて、そこはかとなく漂う昭和臭がいい雰囲気を醸し出していて。自分が頭の中で思い描いた世界が視覚化されるのは、とても面白くて貴重な体験です。

おがわこはる:

どうまんがにしよう?と考えたときに、オールカラーで全部手描きにして、アナログのあったかさと、ちょっと昭和チックな感じを出したいと思ったんです。生活感とか、古い建物の雰囲気とか…。小物や背景を細かく描くのを意識したので、そこを感じていただけたなら嬉しいですね。

ちゃお編集部:それにしても、鈴木さんは昭和の時代にはまだ生まれていなかったのに、そういうシーンをどうやって書いているのですか?
 

 

鈴木るりか:

両親の教育の賜物です。家の中が昭和で止まっているんです(笑)。一緒に昔の映画やドラマを見たり、車の中では昭和の歌謡曲がエンドレスで流れていたり…。その影響もあって、昭和のことを調べてみたら興味を引かれる事象が多くて。昔はまんが家さんの住所が雑誌に載ってたとか、職員室がタバコの煙でモクモクだったとか、クレージーというかおおらかというか(笑)。そういう時代に戻りたいとは思いませんが、なんだか面白いなあと思いました。

『さよなら、田中さん』個性ゆたかなキャラクター裏話!

 

ちゃお編集部:主人公の花実は、鈴木さんに近い部分はありますか?

 

鈴木るりか:

イラストを描くのが好きで、家庭科クラブに入っているところは花実と同じです。私も中学、高校ずっと家庭科クラブで、手芸とか何か作るのが好きなんです。花実のほかの部分は「こうだったらいいな」という願望というか…花実は前向きで、素直で思いやりがあってやさしい、私の理想の女の子なんです。性格的には私と違いますね。


おがわこはる:

花実はとってもいい子ですよね。だからというわけでもないんですが、目の中にお花を入れたキャラクターデザインにしました。

鈴木るりか:

そうなんですか? 本当だ…! 気づきませんでした。

おがわこはる:

名前に「花」がついていて、少女まんがだからキラキラしたほうがいいか?と思って…「ええい、もう、花を入れてしまえー!」って(笑)。

 

(まんが「さよなら、田中さん」2話目より)

おがわこはる:

私は花実のお母さん・真千子さんもすごく好きなんですが、モデルはいるんですか?

鈴木るりか:

よく聞かれるんですが、まず、実際の私の母親がモデルではありません。同じなのは、おもちが好きなとこぐらいかな?(笑) 真千子さんは、私の好きな作家・水上勉さんの私小説に、母親のことを書いたものがいくつかあって、この母親像が一番元になっているかなと思います。『秋末の一日』という短編の中に出てくるお母さんがたくましくて。一家は貧乏のどん底生活をしているんですが、母親があっけらかんとしていて、妙に明るいんです。この母親像を元に、花実のお母さんのように実際に工事現場で働いている女性とか、身近にいる人や、テレビで見た人のいろんなところをミックスして作り上げました。

 

おがわこはる:

そうなんですね。私は今子育て中なんですが、真千子さんを見ていると「こんなおばさんになりたいな」って思います。

 

ちゃお編集部:まんがの真千子さんも、強烈なキャラクターデザインですよね。

 

おがわこはる:

真千子さんは笑顔が多いので、口を笑顔にして、明るい感じにしたかったんです。で、めちゃめちゃ食べるから、もぐもぐ食べてもらえるように、口を大きく…そうすると口の周りにご飯粒とかつくじゃないですか。だからちょっと縦にして、ご飯粒をつけやすくしたんですよ(笑)

 

鈴木るりか:

そんな工夫があったんですね…!

 

(まんが「さよなら、田中さん」1話目より。花実の母・真千子)

おがわこはる:

私は花実のクラスメイト・三上くんも好きで…いい子でやさしいんだけど、ちょっと頭が悪かったり、運がなかったり。三上くんが自分の子供だったら、かわいいだろうなぁと思いながら読みました(笑) 三上くんはどうやって考えたんですか?

 

鈴木るりか:

三上くんや、他のキャラクターでもそうなんですが、ふだん生活していて「こんな人がいるな」「こんな人を見たな」っていうのを、少しずつ要素を取り出して、一人のキャラクターにしている感じです。ただ、花実の担任の木戸先生だけは、実在する人をそのままモデルにしています。

(まんが「さよなら、田中さん」1話目より。花実のクラスメイト・三上)

 

ちゃお編集部:あの物知りで変わり者の木戸先生、実在しているんですか?

 

鈴木るりか:

はい。小学校の担任の先生です。モデルにされていることは気づいていないと思いますが(笑)

 

 

ちゃお編集部:そうですか!? きっとこっそり小説を読んで、誇りに思っているのでは(笑)

 

おがわこはる:

「これ、俺かな」って思ってるかも(笑) ちなみに『さよなら、田中さん』の中で、つきあったり結婚したい!みたいな、理想の男子のキャラクターはいますか?

 

鈴木るりか:

そうですね…どの人にもちょっとダメなところがあるので、理想となるとちょっと違うのかな?って思っているんですけど…。賢人(大家さんの息子で、頭がいい引きこもり男子)は、恋愛対象というより、むしろ私の性格に近いキャラクターだったりしますし。悩み出すと内にこもって陰陰滅滅として 考え込んでしまうのに意外に単純、というところが、自分に似ていると思います(笑)

(まんが「さよなら、田中さん」2話目より。花実の担任・木戸先生)

 

ちゃおっ娘時代の思い出は…?

 

 

ちゃお編集部:鈴木さんもおがわさんも、小さいころちゃおっ娘だったんですよね。

鈴木るりか:

はい。小学3年生くらいから読んでいて、当時はにしむらともこ先生の『極上!! めちゃモテ委員長』が大好きでした。ファッションやヘアスタイルに興味を持ち始めたころで、おしゃれな未海ちゃんは憧れでした。よく自由帳に、イラストを真似して描いていましたよ。

おがわこはる:
私はもう20年以上前になりますが、『ちゃお』を毎月読んでいました。ふろくが楽しみだったり、応募者全員サービスに応募したり…。当時からおのえりこ先生の『こっちむいて! みい子』が大好きで、今も単行本で買っています。

鈴木るりか:
小学生のころ読んでいたまんがとかキャラクターを見ると、すごく当時のことが思い出されるんですよね。キャラクターたちには、学校とはまた別に「友達」がいるみたいな感覚があって、今もずっと友達のままです。おそらく大人になっても…。

 

おがわこはる:

その感じ、わかります! 私も『みい子』をもう小1くらいから読んでいるのですが、今5巻あたりを読むと、それを読んでいたときの思い出がよみがえってくるんですね。一緒に読んでた友達の家の玄関の、木材と2日目のぬるいみそ汁を混ぜたみたいな匂いがよみがえる。『みい子』自体がタイムマシーンになっているような…。子供のころ好きなまんがには、そういう力があると思います。

 

鈴木るりか:

月初めの「ちゃお」発売日が待ち遠しかったです。

 

ちゃお編集部:お2人とも、ありがとうございます! 最後にちゃおっ娘のみんなにメッセージをお願いします。

 

鈴木るりか:

「ちゃお」には女の子が好きな、キラキラやワクワク、かわいいものがいっぱいつまっていると思います。ちゃおっ娘のみなさんも、そういう気持ちを大事にして、素敵な女性になっていってください。 

 

おがわこはる:

今、私は『さよなら、田中さん』を楽しんで描いているんで、「ちゃお」を見ているみなさんも一緒に楽しんでもらえたら嬉しいです。私も「ちゃお」大好きだよー!!

 

ちゃお編集部:ありがとうございました! 『さよなら、田中さん』の小説も、まんがも、みなさんぜひチェックしてくださいね!

★★↓ここから読めるよ↓★★

 

❤プロフィール❤

鈴木るりか

2003年、東京都生まれ。小学4年、5年、6年のとき、3年連続で「12歳の文学賞」大賞を受賞。2017年、14歳の誕生日に『さよなら、田中さん』でデビュー。12万部のベストセラーに。その後毎年1冊ずつ、小説を刊行。2月に発売した最新作『落花流水』がはやくも大反響。

おがわこはる

1991年、熊本県生まれ。2017年『面影と手土産は実家に置いて』が小学館新人コミック大賞・佳作を受賞。現在「ちゃおコミ」で『さよなら、田中さん』のコミカライズをれんさい中!

 

 

ちゃお5月号には鈴木るりかさんのロングインタビューやこれまで執筆した小説ヒストリーも掲載されているよ!

チェックしてみてね!

 

↓この記事を読んだ人はコチラの記事もおすすめ!↓

「現役学生小説家・鈴木るりかさんインタビュー!“私のちゃおっ娘時代”」

 

 

ニューストップへ

 

このページをシェア!