映画『かがみの孤城』の公開を記念して夢のような対談第2弾!
小説家・まんが家を目指す人たちへ、プロとして活やくするお二人からのアドバイス&メッセージ!
—いつから小説・まんがを書き始めましたか?
辻村先生:
私は小学生の頃から小説を書いていました。クラスで物語を書くことが流行ったとき、みんなが恋愛をテーマに書くなか、私だけホラー小説を書いていました(笑)。
まいた先生:
私は中学生からまんがを描き始めました。最初は知識がなくて、ペン先をつけかえることを知らず、同じペン先をずっと使っていました。すりへり過ぎて、細い線が描けなくなるほどでしたね。
—どうやってプロになったのですか?
まいた先生:
プロを目指して毎月のように雑誌に投稿していました。
そして、17歳のときに賞をいただきデビューすることができました。授賞式が期末テストと重なったので、風邪をひいたと嘘をついてこっそり東京へ(笑)。
まんが家になる!と決めてから、周りの人にはまんがを描いていることは伝えずに、ずっとひとりで描いて、ひとりで投稿を続けていましたね。
辻村先生:
私もずっとひとりで書いていて、中学生のときまでは書いた小説を読んでくれる人もそんなにいませんでした。だけど、高校生になって、ルーズリーフに書いていた小説を読んだ友だちに「続きを読みたい」と言ってもらえたのがすごくうれしくて。いつかプロになれるかもしれないと思えるようになりました。その後、大学を卒業し、働きながら小説を書いていた24歳のとき、賞をいただいてデビューしました。
—上手な文章や絵を生み出すコツはありますか?
辻村先生:
文章がうまくなるには、たくさん本を読むことです。すごく美しい空を見たとき、それを表現しようと思ったら言葉を知っていなければできないですよね。本に限らず、まんがやアニメでもいいから、いろいろな作品を通してたくさんの言葉に触れるようにしましょう。
まいた先生:
絵は自分で楽しみながら描くのがいちばんですが、私の場合は上手な人の絵を模写していました。誰もが最初からうまく描けるわけではありません。私も過去に描いた絵を見て「わーーーっ」と叫びたくなることもあるけれど、そう思えるのは上達したということだから落ち込まないようにしています(笑)。
—どうすれば個性的なキャラクターを考えられますか?
まいた先生:
まんがの場合は、その子がどういう子なのか、ひと言で表せるようなキャラクターを目指しましょう。ちょっとオーバーなくらいリアクションのある子のほうが、絵に描いたとき動かしやすいかもしれません。
辻村先生:
自分のクラスに20人の生徒がいるとして、21人目の子がいたらどんな子なんだろうと想像してみるといいかも。新しいキャラクターを考えるときは周囲の人をモデルにするのもいいけど、こんな方法も試してみてください。
—お仕事をしていて、いちばんうれしい瞬間は?
辻村先生:
やっぱり、作品を書き終えたときですね。自分が生み出したキャラクターとのお別れは寂しいけれど、それよりも「これで本にしてみんなに読んでもらえる!」というワクワク感が大きいです。
まいた先生:
自分でも驚くようなすっごいネーム(セリフやコマ割りを含めたお話の流れ)が、私の中から生まれてきた瞬間です。長い連載の中で2、3回しか起こらないんですけど、「大人はわかってくれない。」で言えば、たとえば景と風花の関係に変化が起こるところなどがそうです。
—小説家・まんが家を目指す人にメッセージをお願いします。
まいた先生:
自分の経験したことがいちばん上手に描けるので、いろいろな経験をしましょう。そうすれば、ちょっとした日常をうまく描けるようになりますよ。絵の練習よりも、リアルな経験をするほうが大事です。友だちとケンカしたり、失恋したり、そんな悲しい経験も、かならずまんがに活きてきます。
辻村先生:
小説を書き始めたら、短くてもいいからとにかく最後まで書いてみましょう。1作を書き上げたことが自信になって新たな作品につながります。
辻村先生&まいた先生:
みんな、夢をあきらめずにがんばってください!
\辻村深月先生はちゃお3月号にも登場しているよ!/
★辻村深月先生
2月29日生まれの魚座。山梨県出身。2004年『冷たい校舎の時は止まる』でメフィスト賞を受賞してデビュー。
2012年『鍵のない夢を見る』で直木三十五賞を受賞。
2018年には『かがみの孤城』で本屋大賞1位に。
幅広い読者から支持される大人気の小説家。
★まいた菜穂先生
3月2日生まれの魚座。広島県出身。
2004年『スカジャン☆ジャンキー』が第55回小学館新人コミック大賞佳作を受賞。
2005年「ちゃおDX」に掲載されデビュー。
代表作に『12歳。』シリーズ。
現在「ちゃお」で『大人はわかってくれない。』を大ヒット連載中。