ジャルジャル福徳秀介さん、2冊目の小説を発売!「小学生の頃から、いろんな物事を観察するのが大好きだったんです」【インタビュー】


バラエティ豊かなコントネタで人気を集めるお笑い芸人、ジャルジャルの福徳秀介さん。現在はドラマ出演などでも大活躍中の福徳さんが、2冊目の小説『しっぽの殻破り』を発売! 今作についての想いや、ネタ探し、小学生の頃の思い出、さらには夢の叶え方のヒントなど、たくさん教えてもらいました。

Profile
1983年生まれ。兵庫県出身。生後すぐから小学生になるまでをロサンゼルスで過ごし、帰国。2002年に高校の同級生だった後藤淳平とジャルジャルを結成。2020年に小説家デビュー。2020年に『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』で小説家デビュー。

 

小学生の頃から、いろんな物事を観察するのが大好きだった

 

───小説を書き始めたきっかけを教えてください。

実は自分から長編小説を書こうと思っていたわけではなく、出版社の方に「小説を書いてみませんか」と声をかけていただいたことがきっかけなんです。その時は、いろんな芸人さんが短編小説を書いて、それを1冊にするという企画だったんですよね。でも、実際に書き上げたのが僕しかいなくて、結果的に長編小説を書くことになったんです。その小説が、僕の1冊目の小説『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』となりました。


───物語を書く“コツ”などはありますか?

僕が知りたいくらいです(笑)! 短編小説であれば、起承転結がそこまで多くないので、難しく考えることなく書くことはできますが、長編となると、よりその起承転結が大事になってくるので、僕もコツを模索している最中です。あとは、コントのネタと同じく、物語の種を、日々探すようにしています。


───どのようなところにその種はあるのでしょうか。

ちょっとした“違和感”に、ヒントがあるんですよね。それがすごく面白い話や、コントに繋がったりすると思っていて。


───『しっぽの殻破り』のお話に繋がった“違和感”はどんなことでしたか?

以前、「新宿のルミネ」で、制服姿の女子高生が買い物をしているのを見かけたんです。でも、彼女の足元はスニーカーで、ちょっと泥がついていたんですよね。それだけでちょっと想像が広がりませんか?


───たしかに、「新宿ルミネ」は、もうちょっと洗練されたイメージがありますよね。

そうなんです。流行の最先端の場所に、制服とローファーではなく、泥のついたスニーカーを合わせていることから、その女子高生がちょっと背伸びをしてそこに居ることと、さらに子どもと大人の間にいる、どこか不安定な雰囲気を感じたんです。そこから、『原宿ガール』というお話が生まれました。


───本当に日常の人間観察から生まれているんですね。さらに、幼なじみが女優になった複雑な心境を描いた『ぴょんちゃんと私』の、女の子の嫉妬心と憧れもすごく上手く描かれていると思いました。

実は、これは男性にも置き換えられる話だと思うんですよね。今作には、これらの話を筆頭に、決して特別な話ではなく、どこにでもある話がたくさんあると書かれているんです。なので、それぞれの話に共感してもらえたり、「こんな風に思ったことがあったな」と感じてもらえたら嬉しいです。

 


───細やかなことに気づく観察眼は、どこで鍛えられたと思いますか?

小学生の頃から、いろんな物事を観察するのが大好きだったんです。そういえば、小学3年生の頃、自分だけ顔にエラが張っていることに気づいたことがあったんです。でも、内頬を噛めば、顔がシュッとなることにも気づき、何日か内頬を噛んだまま生活をしていたことがありました。あとは、中学2年生の時に、上唇の山が気になって、マスク生活を始めたことも。1週間くらいで、その上唇にも慣れて、マスクは外れたんですけどね(笑)。


───独特な場所に気づいていたんですね。

そうですね。あとは、スピッツが好きで、よく歌詞をノートに写し、解読したりしていました。とくに『運命の人』の“バスの揺れ方で人生の意味が分かった日曜日”という歌詞の意味が深すぎて、友達と“どういう意味だろうね”と話し合ったりもしていました。そういった気づきが、僕の観察眼を鍛えてくれたんだと思います。


───さて、福徳さんは最近になって小説家デビューを果たしましたが、芸人という夢も叶えています。それぞれ、大きな夢をかなえるためには何が一番必要だと思いますか?

いま、僕の周りの芸人さんたちを見ていると、若手時代に、ずっと練習をしていた人たちが残っているなと思っていて。それは、みんながお笑いを好きだからこそ、練習していたんですよね。


───たしかに、20年も練習をやり続けているって、好きじゃなければ難しいですよね。

そうなんです。僕たちジャルジャルのふたりも、今思うと異常なくらい練習をしていました。


───異常なくらい⁉

異常でしたね。場所も問わず、大学の図書館前や、道、どこでも思いついたらネタの練習をしていて。他人の目はまったく気になりませんでしたが、周りは気になっていたでしょうね(笑)。


───あはは。

でも、当たり前のことではありますが、今は周りの目が少し気になってしまうんです。それがちょっと寂しいんですよ。あの頃は何も気にせず、無我夢中でお笑いをしていて。その頃のままの自分でありたかったなと思うこともありますね。


───何事も、好きであれば、辞められないですよね。

そう思います。好きであれば、人に言われなくても突き詰めると思うので、ただ好きなものを好きでい続けることの方が大事だと思うようになりました。


───小説やネタなどを書くときに、行き詰った時のリフレッシュ法を教えてください。

僕は放置します。無理やり書こうとしても書けないので、諦めます(笑)。そうしているうちに、締め切りがくるんですよね。となると、大人な自分が「守った方がええな」となり、書くモードに突入するんです。


───社会性がしっかりしていますね。

そうなんです!(笑) ジャルジャルはふたりとも、意外と社会性があるんです。だからこそ、シュールと言ってもらえますが、行き過ぎない、均等性があるネタが出来ているのかもしれないですね。


───ちなみに、小説家の福徳さんと、ジャルジャルの福徳さんとでは、何が一番違いますか?

小説家の僕は、一切ボケていません(笑)。狙ってもいませんし、自分の中にあるものを真剣にさらけ出すからこそ、書いているときはモチベーションがよくわからなくて。でも、書き終えたときに、本当に満足するんです。その違いが大きいかもしれないですね。


───では最後に、夢を目指すちゃおっ娘に、エールをお願いします!

まずは、いろんな本を読んだり、映画を見たり、さらにはいろんなものを見て、自分が好きなものをさがしてみてください。なにか新しいものに触れたり、人のことを観察することで、新たなアイディアも浮かんでくると思うので、その時々の発見を楽しんでください!


福徳さんはちゃお1月号にも登場しているよ! ちゃおガール ここなちゃんが直撃取材しているのでそちらも是非チェックしてくださいね。

 

information
『しっぽの殻破り』
ふとした瞬間をユニークな目線で切り取った短編集。中高生が主人公の物語は、“あるある”なお話に共感できるはず!

▶️詳細はこちら
 

撮影/平田 貴章 取材・文/吉田可奈 

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